役所づとめのきじばと

ウイングあつかましい言論ゼロカスタム

匙を投げ癖

どこにもいけない日には、どこかにいった人の話を聞くのがいいと思う。嘘でもいいので話してほしい。母親だけにつながる電話。母親だけが身近な女。本は友達、薪の友達。おんなじ日を何度も繰り返す人になっても、ひっついてくるのはいつかの火。今日見たことは話したくない。全部、嘘にしておきたい。真逆のことをいうだけならば私にだってできる気がする。

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